第二音楽室

存在意義が問われる

僕がなぜ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」が嫌いなのかということ

防振りがなぜつまらないのか、ではなくなぜ嫌いなのか、という話。

原作は呼んでません、書籍は1巻だけ読みましたが主にアニメしか知りません。

 

 

 

・虚無性

 防振りを低評価する人の多く(というか全員)が指摘するのがこの問題。

物語に起伏が無く、盛り上がることも無ければ落ち込むことも無い、カタルシスなどもっての外。

最序盤こそ防御特化のキャラがどうやって戦っていくのかというワクワク感はあれど1話の後半からはなんか知らんうちに強い装備とスキルを手に入れて無双しての繰り返し、攻撃力が低いという欠点も早々にスキルで補われてしまい戦略性や頭脳プレーは無い、ピンチも無ければ手に入れた力を使って冒険しに行くとかも無い。何も無い。

終盤で一見ピンチっぽい描写があるが実際にはメイプルが切り札を隠し持っていることは視聴者も知っているのでなんらドキドキしない。早く使えよとしか言えない。

こうなってしまっている最大の理由はメイプルに目的が無いこと。

ゲームをプレイするからには当然目的があるわけで、ストーリーを読みたいとか、対人戦で相手をボコして気持ちよくなりたいとか、ランキング上位に入ってドヤりたいとか、かわいいキャラを愛でたいとか色々考えられるが、メイプルが何をしたいのか全く語られず何が楽しくてゲームやってるのか分からない。サイコ野郎か?

目的が無いので物語にも方向性が無く、常に行き当たりばったりしか起こらないので先の展開も気にならないしどこにも感情移入できない。

 

がしかし、個人的にここは大きな問題ではない。

虚無さだけでは評価は0点になったとしてもマイナスにはならない。つまらないだけでは嫌いにはならないのである。

 

 

 

・ゲームとしてのおかしさ

 防振りの舞台となるVRMMO「NEW WORLD ONLINE」のゲーム性はあまりにもツッコミどころが多く、バランスは崩壊している。

最初はわざとそういう風に描写しているのかとも思ったが、そのガバガバっぷりに純粋に作者のゲーム知識が乏しいためではないかという疑惑が次第に大きくなっていく。

ツッコミどころを一つ一つ挙げ始めたらもはやキリがなく、ゲームが舞台というより”メイプルにとって都合のいいことが起こる異世界”が舞台だと理解した方が正しい。

あらゆるゲーム内描写に対して「こんなバランスの狂ったゲーム誰もやるわけないじゃん」というツッコミが成立してしまう本作は舞台設定を根本からミスってるとしか言いようがない。

ゲームに詳しくないんだったらゲームを舞台にした小説なんか書くなよと思いながら見ていた人は多いだろう。

 

 

 

 

・ゲームに対するリスペクトが無い

 設定がガバガバなのも、物語に起伏が無いのも別にいい、それは作者の技量が足りないだけでそれで嫌いになったりしない。

一番最初に「は?」と思ったのは、ゲーム運営がメイプルのイカれた強さに対してバランス調整を放棄するシーン。

お前はゲーム運営の何を知ってるんだ?3,4人のプログラマーが「こいつ強すぎるから弱体化しーようw」ってキーボード適当に弄ってバランス調整してるとでも思っているのか?

明らかにゲーム運営という仕事を馬鹿にしてるとしか思えなかった。

それにも増して酷いのがゲームプレイヤーへの理解とリスペクトの無さ。

低レベル時のメイプルがポーションがぶ飲みしながら耐えるだけでいとも簡単に習得できた『毒無効』のスキル、それなら他のプレイヤーも同様に毒無効を習得していて然るべきで毒攻撃であるヒドラなどは早々に死にスキルとなるはずだが、なぜかいつまでも有効である。なんで?他のプレイヤー馬鹿なの?

初動組でもないメイプルが初回クリア限定のユニーク装備(そんな後発が一方的に不利になるようなものそもそも実装するわけないが)を入手できるはずないだろ?廃人プレイヤーにとっくに取られてるよ。

メイプルがラッキーで壊れスキルや装備を手に入れるのはまあいいとしても、じゃあメイプル以上にやりこんでるプレイヤーも壊れスキルや装備を持ってないとおかしいだろ?防振りの無双はメイプルが強いんじゃなくて他を馬鹿にすることで成り立っている。

 

 

が、それはいい

 

 

まだいい

 

 

一番気に入らないのはこれ

 

はじめに

この作品がご都合主義的展開を含むこと。

また、作者が息抜き程度に書き始めたもののため読む人によっては耐え難い矛盾や違和感を感じる可能性があることが予想されます。

特に、【VRMMO】として完成されたゲーム性を楽しみたい方にはお勧めできません。

 

そして、それらに対しとても不快に思った際は速やかにページを閉じ、この作品を切ることをお勧めします。無理して読むことは息抜きや趣味の読書では無いと思います。

また、その後他の楽しい作品を探しに行くことを推奨します。

以上のことを踏まえた上でどうぞご覧ください!

 

原作、要はなろう版1話の前に書いてあるまえがきである。

はじめから「ゲーム」に対して正面から向き合った作品ではないことが分かる。

「ゲーム」を「主人公にとってただただ都合のいいことが起こり続けてもいい世界」と解釈している時点でもうキレそうだが。

一番言いたいことは

 

 

こんな予防線張って逃げ道作って作者本人が胸張れてない作品で金取ってんじゃねーよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジで失礼だけど、もし僕がこれの作者だったとして出版社から書籍化の話が来たら「こんな文章で金を取るわけにはいかない」と言って断ります。

 

 

結局悪いのはこれに書籍化の話を持ってきた出版社だと思います。

 

 

おわり